
特定整備制度は2020年4月1日に始まり、4年間の経過措置は2024年3月31日に終わりました。いまは、電子制御装置整備の認証が無い工場は、エーミングなどの作業を引き受けられません。2025年7月8日の改正では、認証工場が備える機器に整備用スキャンツールが加わり、認証の新規取得や事業場の移転のときから適用されています。
何が変わるか
特定整備とは、それまでの分解整備に、電子制御装置整備を加えた区分です。電子制御装置整備には、衝突被害軽減ブレーキや自動操舵に使う前方のカメラとレーダーの取り外しや調整、それらが付いた前面ガラスやバンパーの脱着、自動運行装置の整備が当たります。センサーの付いていないガラスやバンパーの脱着は当たりません。認証は、事業の種類と事業場ごとに地方運輸局長から受けます。分解整備の認証だけを持つ工場がエーミングを行うには、電子制御装置整備の認証を追加で受けます。認証を受けずに行うと、道路運送車両法の罰則(50万円以下の罰金)の対象です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作業場 | 電子制御装置点検整備作業場と車両置場。屋内作業場と兼用できる |
| 機器 | 水準器と整備用スキャンツール。スキャンツールは1車種でOBD検査の対象装置を扱えればよい |
| エーミング用ターゲット | 保有の義務は無い。共同保有や借用でもよい |
| 人 | 整備主任者の選任。1級整備士(二輪を除く)、または2級整備士などで講習を修了した人 |
| 記録 | 特定整備記録簿に記載し、写しを使用者に交付。2年間保存 |
いつから
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2020年4月1日 | 特定整備制度の施行。電子制御装置整備が認証の対象に加わる |
| 2024年3月31日 | 経過措置の終了。施行前から行っていた作業に限り認証なしで続けられた期間が終わる |
| 2025年7月8日 | 認証工場の機器要件の見直し。トーイン・ゲージなど3つを削除し、分解整備を行う事業場に整備用スキャンツールを追加(認証の新規取得時または事業場の移転時から適用) |
| 2029年4月1日 | 自動運行装置を備える車の適合を証明する自動車検査員は、1級自動車整備士の技能検定合格が要件に加わる |
機器要件の見直しでは、比重計はバッテリ・テスタでも、エンジン・タコテスタとタイミング・ライトは整備用スキャンツールでも代えられるようになりました。整備士の資格制度の変更は2027年からの自動車整備士資格の新制度で扱います。
整備工場がやること
- 入庫している作業を洗い出すガラスの交換、バンパーの脱着、鈑金の修理のうち、センサーに関わるものを数えます。当たるかどうかは特定整備に該当する作業一覧で確かめられます。
- 自社で取るか外に出すかを決める認証を取らない場合は、該当する作業だけを認証のある工場に頼みます。その場合も、受付で該当するかを見分ける手順が要ります。
- 作業場、機器、人をそろえる作業場の寸法は扱う車の大きさで決まります。整備主任者の講習は開催の回数が限られるため、先に日程を押さえます。
- 運輸支局に相談して申請する窓口は管轄の運輸支局の整備部門です。手数料と処理にかかる期間は、運輸支局に確かめてください。
- 受付で対象車を見分ける国土交通省は、対象の車をメーカーごとに調べられるリンク集を公開しています。見積もりの段階で確かめ、外注の予約と日数を先に伝えます。
- 記録と研修を続ける特定整備記録簿の写しの交付と2年間の保存、毎年度の整備主任者研修を、年間の予定に入れます。
整備システムでの対応
この制度で変わるのは、受付から請求までの流れです。受付では車台番号で対象車かを確かめ、見積もりにはエーミングの作業と外注の費用を入れます。作業のあとは特定整備記録簿を書き、写しを渡します。整備システム・整備ソフト DREAM POWER は、電子車検証から車台番号や型式を車両登録に取り込めます。公式サイトの「指定整備記録簿電子保存」のページには、指定車検、持ち込み車検、定期点検、分解整備に対応し、車両の情報を整備ソフトから連動できるとあります。電子制御装置整備の記録簿への対応は、公開ページでは確かめられませんでした。資料請求のときにお尋ねください。対象車の検索は、日本カーネットが特定整備ナビで公開している無料の検索(メーカー検索、車台番号検索)が使えます。
制度対応を、システムにまかせる
認証を取ると、見積もり、作業指示、記録簿に書く項目が増えます。受付で読み取った車両の情報を、見積書と請求書まで打ち直さずに使う流れを、デモでお見せします。
よくある質問
- 経過措置は延長されましたか。
- 延長されていません。2024年3月31日に終わり、同年4月1日以降は、電子制御装置整備の認証が無いと該当する作業を行えません。
- 古い「分解整備」の看板は作り直しますか。
- 分解整備の認証を受けている事業場は、従来の標識をそのまま使えます。事業者の名称や住所、事業場の所在地、屋内作業場の面積などを変えたときは、「自動車特定整備事業」の表記にします。
- エーミング用のターゲットは買わないといけませんか。
- 保有の義務はありません。必要なときに入手できる体制があればよく、事業場のあいだでの共同保有や借用でも構いません。
- いまの認証工場も整備用スキャンツールを買う必要がありますか。
- 2025年7月8日の改正で加わった整備用スキャンツールの義務付けは、認証の新規取得時または事業場の移転時から適用されます。電子制御装置整備の認証では、以前から保有が要件です。
くわしい解説
経過措置の中身と、認証を取らない場合の選び方は特定整備の経過措置は2024年3月終了に、要件と必要書類、申請の順番は特定整備の認証の取り方にまとめています。
- 整備工場がエーミング・特定整備に対応するには(認証・設備)整備工場開業・整備士独立支援
- エーミング対象車両の検索方法(車台番号・メーカー)特定整備ナビ
出典
- 国土交通省「特定整備制度概要」:https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001332203.pdf
- 国土交通省「特定整備制度に関するよくある質問・問答」:https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001388156.pdf
- 国土交通省「これからも自動車を安心・安全に使用できる社会に向けて〜時代に合わせた整備事業規制のアップデート〜」令和7年7月8日(「令和8年度 整備主任者研修 法令研修 全国共通教材」1〜5ページに掲載):https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/002008010.pdf
- 国土交通省「電子制御装置整備の対象車両」(メーカー別リンク集):https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr9_Target_vehicle.html
- 道路運送車両法(e-Gov法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0000000185
- 道路運送車両法施行規則(e-Gov法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/326M50000800074
- 日本カーネット公式サイト「電子車検証と連動」:https://www.j-carnet.co.jp/system/maintenancesystem/%E9%9B%BB%E5%AD%90%E8%BB%8A%E6%A4%9C%E8%A8%BC%E3%81%A8%E9%80%A3%E5%8B%95
- 日本カーネット公式サイト「指定整備記録簿電子保存」:https://www.j-carnet.co.jp/system/%E6%8C%87%E5%AE%9A%E6%95%B4%E5%82%99%E8%A8%98%E9%8C%B2%E7%B0%BF%E9%9B%BB%E5%AD%90%E7%99%BA%E8%A1%8C